CCDD’s diary

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田中絹代のお春

1952年 溝口健二監督の 西鶴一代女を見た

田中絹代 三船敏郎 主演の

井原西鶴浮世草子 好色一代女がベース

ここまで翻弄されて時代的にも非業だし、阿呆な男衆ばかりで無性に腹立たしい感もあるが、強制ばかりではなく自ら選びとるようなところもあるし、まさに波乱万丈な女の生を全うしたのではないかと思える

フランスヌーヴェルヴァーグ映画作家にも大きな影響を与え、ヨーロッパ映画界では長回しのカメラワークの流行を生じさせることとなった作品らしい

ヴェネツィア国際映画祭で国際賞を受賞

羅漢像を見て、あのほだされた若党に似ていると微笑む姿は実に妖艶で…

三十三間堂で自分の顔に似た一体があると言われていることなど思い出した

奈良の良家の娘に生まれ、御所づとめをする身分ながら、掛け違いや気持ちに嘘をつけない性質もあいまって洛外追放 相手も斬首と壮絶な十代

踊りと容姿を家中に見染められ殿の妾になるものの奥方の妬みを買い、息子とも生まれてすぐに引き離され、父親に島原の廓に売り飛ばされ大夫になるも、見受けしたいといった越後の男は詐欺師で、呉服屋に女中として世話になるが、そこでも履歴をばらされ奥方からあらぬ誤解を受け と大波に呑まれていくばかり…。

唯一幸福を感じていただろう暮らし向きは、善良で働き者の扇屋のもとへ嫁入りした頃。だがその旦那も物盗りに殺され…

世をはかなみ老尼の世話になるが、またあらぬ誤解を受け寺を追い出され、彼女に横恋慕していた笹屋の番頭に連れ出されるが、店から盗みを働いていたらしく男は御用となり、やがて彼女は三味線を弾きながら物乞いをするように…。倒れたところを介抱してくれた二人の夜鷹に誘われ、ついに街娼にまで身を落とし、息子である若殿の顔も遠くから一目見ることしか許されず、孤独な巡礼の旅に…

と不幸の連鎖ではあるが、これだけ人に魅入られ裏切られ、また関わらざるを得ない人間力たるや、圧倒的なのである

よよよー と泣き崩れながらも全く逞しいではないか

女性とはいやはやこんなものかもしれないね