CCDD’s diary

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チェの奥さん Aleida March その③

彼の評判より、中身に惹かれた。

賞賛と敬愛。知的で統率力がある。

隊がいつでも守られていると感じられる器の大きさ 力強さ 優れた戦術。

咄嗟に判断し行動しなくてはならない戦場で、隊をサポートし、自信を与え、皆の疑念を消す。

町の端にあるタバコ工場に総司令部やラジオ局を設置。

例えば友達と話に興じている時に背後から詩を詠むような照らいのある彼の愛情表現。

チェのことを権威ある大人としてしか見ていなかったアレイダだが。

チェが左腕を骨折してしまった時に黒のガーゼのスカーフでスリングを作ったことで、そのスカーフが後々ふたりを繋ぐ絆に。地の利を熟知していた自分がチェを守れなかったことを悔やみ、以後、そばを離れないと誓う。暗号伝達係として活躍。

Remediosでは市庁舎を焼き払う作戦に出るが、キューバ市民としては、独立の記念なので、抵抗がある。

チェは戦闘員に対して厳しく接しなくてはならないことを、時に人間的な感情をも排して冷酷に言い渡さなくてはならないことを必要としながらも、悔いて。

たとえば武器を失った若い兵士に、敵陣に行って奪い戦えと。その兵士の死に際に偶然居合わせると、兵士は、覚えてますかコマンダー、武器をここで手に入れましたよ、と言ってこと切れる。勇気を示したかったのだろう。彼の手をとり、逢えてうれしい、それこそ我が反乱軍の兵士と。

チェはアレイダの物怖じしない率直さに惚れこんだ。信頼を得たがゆえに機密事項も話す。

Caibarien陥落は他の地区とは違った。海に近いので、沖にはフリゲート艦がいる。バチスタ軍の戦車が待ち構える。陸兵団が降参しなければ海兵団も諦めはしない。特攻隊が功を奏す。食えず眠れずの8日間だった。最初に口にしたのが、麦芽ビール。死ぬほど美味かった。

Santa Clara 陥落には地理学者の地図学の助けがあった。Falcon 橋は既に破壊していたので、中央ハイウェイからは攻められないが、どちらの方角から町を攻めればいいかが明確になった。

Santa Claraの最初の司令塔は中央大学。その時にはじめてチェからM1ライフルを渡された。斥候がすでに町へのルートを確認。地元の人々ともコンタクトをとっていた。

無防備な住民をも巻き込んだ空からの無差別爆撃に、チェはマシンガンを手に取りぶちかまし、隊を鼓舞する。待機、闘え、と。

やがて町に突入。役所のビルに第2の司令塔を打ち立てる。

隊員達の葬儀から帰るとチェが初めて自分の私生活について語った。ペルーの経済学者のHilda Gadeaと結婚していたこと。ひとり娘のHildita共々メキシコに残してきたこと。夫婦に行き違いがあり別れたことを語ったが、アレイダは女性としてヒルダ側の気持ちに傾いていた。アレイダ自身、まだロマンチックな小説の渦中にいるようだったし、国家や自己の解放で手一杯だった。男勝りで勇敢な、個性の強いエレガントな女性が傍らにいない筈がない、だが、その時の彼は孤独に見えた。

革命家としての源はバカげているかもしれないが、大いなる愛情にあると後に彼が語るのを肌で感じた瞬間だった。そして重要な闘いに身を捧げるコマンダーを、より身近に感じるのだった。

ジープに乗り、シンプルなデザインの戦車にドラゴンと名づけるような遊び心のあるCamiloに会いに行き、心休まるひと時を共に過ごし、若く未来の勝利への希望に燃える2人の絆はさらに強まった。

チェは詳細なメモをアレイダに取らせていたが、ある時、独裁者の武器を搭載した列車のレールを脱線させるため、ブルドーザーが必要、と言っていたチェの英語のキャタピラーという言葉が聞きとれず、スペイン語で、ベッド、シャベル、電池と書いてしまい、それに気づいた彼は笑いながら、教師だろ?と彼女をからかう。後々子ども達にまで知られる語り草となった。

スナイパーに狙われながらもレールを損傷させ、メインストリートへと向かう。

チェは囚人たちをも絶対の敬意を持って扱った。列車に乗っていた多くが、数え切れない隊員をSierra Maestraで死に追いやったSanchez大佐の兵隊達であっても。

12/30 警察本部に向かっている時に百人力のファイターがスナイパーに殺られる。その光景に身体が麻痺する。

まだ裁判所やグランホテル、Leoncio Vidal 連隊の駐屯所が残っている。

事は瞬時に運んだ。窒息しそうな戦車に乗って。チェはグランホテルの三階の塔へ辿り着き、Villegasとアレイダは映画館でチェの命令を待った。

敵は降伏し、司令塔の地下に幽閉され、弁護士が処刑者の名前を読み上げたが、逃亡した者がいたので、執行には至らなかった。

1/1までにはバチスタはハバナから逃げたが、まだサンタクララの連隊が投降していなかった。これ以上の血を流すことを避けるため、ドクターらを連隊長との話し合いに送り込んだ。連隊長にすべての責任があると最後通告。

反乱軍340に対して政府側は3,000 圧倒的に不利だったが、幸いにも敵は降伏、命は容赦すると言う名誉を懸けた約束を受け入れた。

1/1、チェはフィデルとラジオで話し、即ハバナへ移動するようにとの命を受ける。ハバナの情勢は混乱していて、カミロの第2分隊がバチスタの最重要要塞であるキャンプコロンビアを、チェの第8分隊が港や町へのアクセスをコントロールできるハバナベイ入口のラ・カバーニャ要塞を奪取。

アレイダは両親に無事を知らせ、ハバナに行くと告げる。放蕩娘が無傷で戻ってきて安堵するが、また送り出さねばならない。アレイダの恐れと言えば、自分が前線から除外されることである。1/2 反乱軍のトラックが列をなす中、いつもの戦友たちとジープへ乗り込む。ずっと夢見ていたことが、いよいよ現実となる。

以上、五章

つづく。